寝ない赤ちゃん育児の体験談

寝ない新生児を迎える

赤ちゃん・新生児が寝ない!どうしたらよいでしょう?」

インターネットの掲示板の「ママの悩みコーナー」で、よくこういう書き込みをみかけます。
「赤ちゃん」「寝ない」で検索すると、山ほど記事がヒットします。 そういった書き込みを見るたび、「そうだよなぁ。悩むよねぇ」と、しみじみ思ってしまいます。
何を隠そう、私が、強く強くそう思い、悩んでいたから。

育児本によると、赤ちゃんって大体三時間おきにおっぱい、ねんねを繰り返すなんて書いてあります。
そういえば、新生児の時期を 『ねんねの時期』 なんて紹介してある本も多くありますね。
確かに眠ってばかりいる赤ちゃんもいるんですよね。
私のお友達でも、

「もう、この子、赤ちゃんのころ眠ってばっかりだったの~。もっと抱っこしてあげればよかったわぁ」

なんていうママもいるくらいです。
そんなママ友達の話を聞いて、私はあせったものです。そして悲しくもなりました。



寝ない・泣いてばかりの新生児

産まれたばかりの私の赤ちゃん。
寝ないのです。抱っこしていないと、泣くのです。

寝ない。泣く。
寝ない。泣く。
寝ない。泣く。

寝~な~い~~~っっっ!
泣~き~や~ま~な~い~~っっ!

もうくたくた。赤ちゃんを愛でる余裕なんか、これっぽっちもありゃしない。
だから、ウチには新生児の頃の赤ちゃんのあまり写真がありません。
ほっぺを触るぅ~? とんでもなぁい!!
だれが、やぁーーーっと眠った子を触るかい~っ!!
いつも叫びたかったです。

「だれやぁーーーーーっ! 赤ちゃんが眠るって言ったんはーーーーーっ!」

赤ちゃんを知らない私

赤ちゃんを知らなすぎました…。私。
いやね。
新生児のお世話は、昔、ちょこっとやったことはあったんです。 兄のお嫁さんのところに、大学生のころ、産後ヘルプ(買い物や洗濯や掃除)に行った経験があるんですよ。

生まれ立ての、兄嫁の赤ちゃん。まぁ、小さくてかわいい。
そして、ベッドで寝てばっかり!

当時の私は、「ほうほう。新生児の育児とはこういうものかぁ」とわかった気になっていました。
だから、新生児のお世話には少しは慣れているはずだったんです。
そして、実際の自分の新生児子育てはというと…。

まず出産。
産院では、母子別室。
自分が産んだ我が子なのに、昼間、夜中、何をしてどんなふうにすごしているかを全然知りませんでした。
三時間ごとの授乳は、授乳室で行いました。我が子と触れ合えるのはその30分だけ。泣いてようが、眠っていようが、授乳が終われば、助産士さんに赤ちゃんを返していました。 なんの疑いも、問題も感じていませんでした。「そうか、こういうものなんだ」と思っていました。

入院中、私の産後の体調が思わしくなく、発熱したりと色々とトラブルがありました。 晴れて退院を迎えたのは、出産から実に二週間後。
そこから、いきなりの24時間母子密着生活が始まりました。まだ元気いっぱいの私は、自宅での赤ちゃんのお世話に意気込んでいましたね。

「私も母親になったのねぇ。えへへぇ」

ってなもんでした。

思い出すのは、退院当日。自宅でのこと。 当然、赤ちゃんは泣きます。 最初の五分や十分の泣き声タイムは全然平気でしたね。私も余裕しゃくしゃく。

「おむつは濡れてない。じゃ、おっぱいね」

産院で教わったとおり、ちゃんと授乳しました。ゲップもさせました。

「さ。ねんね~」

大きなベビーベッドの、まっさらなベビー布団の上に赤ちゃんを乗せます。 我が子はすぅすぅ眠るはずでした。 少なくとも1,2時間くらいは。 そして、私は母になった実感を、まったり、じっくり味わうはずだったのです。

でも寝ないんです。
そぉ~~っとベッドに置いても、お布団に着陸した途端、

「んぎゃーっっっっ」

何回もトライしてみます。 でも、だめ。

2回。3回。4回。
だめだっ。ベッドに置いても起きる。起きる。起きる。

「え? ちょ、まって」「あれ?」

どんどん気持ちが焦ります。
お前は、超高性能ベッド感知器が備わっているのか? 背中に何かのスイッチがあるのか? 高さセンサーが付いてる? 傾きセンサー? いったいなに?

なんでなんでなんで?

よーーーうやくベッドで寝かせることに成功した時には、もう私はへろへろ。
呆然とため息をついて、座り込みました。しかし、それもつかの間。

「んっ。む………………(無言のタメ)、びゅゅえ~~っっっ!!」

「うそぉ~~!!!!」

産院から退院してきたその夜、うちの子は寝ない赤ちゃんだという事実を突きつけられたのです。

抱っこ不眠との戦い

それから、1,2ヶ月、『すさまじい睡眠不足』と『一日中抱っこ育児』が始まります。 こんなこと、どの育児書にも書いてない、まさに殺人的修行としか思えない育児でした。

我が子は抱っこしていないと、大泣きなのです。

いや、正確に言うと、

抱っこして
立って
ゆらゆらして

いないと大泣きなのです。
実は、こういう魔の三連チャンセットでないと大泣きという赤ちゃん、結構います。

椅子などに座った状態で抱っこしても、すぐ愚図り出します。抱っこしたまま、立っていないといけないんです。
でね。立ってその場に止まっていても、しまいには愚図り出します。だから歩いていないといけないんです。

しかもですね。
「ふぇ~ん」などとかわいい声で泣くのではありません。
とても、数日前に生まれた赤ちゃんだとは思えないような、耳を塞ぎたくなるような「ギャン泣き」です。
(あまりギャン泣きという、ちょっと乱暴な言葉は使いたくありませんが、 本当に、鼓膜がビリビリ震えてくるような、そんな泣き方をするのです)

ギャン泣き&ギャン泣き



時々、「あらぁ、赤ちゃんなんて泣いていてもほっておけばいいのよぉ。大丈夫よ」と言う人もいます。
が そんなことできるような声・表情ではありませんでした。
今思えば、そういう(ある種安易な)発言をするかたは、「本当に酷いギャン泣きを何時間も聞き続けたことなんか絶対ない」と思えます。

この世の終わりのような金切り声をあげ、顔を真っ赤にして、呼吸が止まりそうなくらいの泣き方なんです。
赤ちゃんをベッドの上に放っておいて、あの泣き声に耐えるくらいならば、疲れた体にむち打ってでも抱っこして赤ちゃんを静かにさせて、よろよろと歩き回っていた方がましだと思えました。

ダンナが抱っこしても大泣きしました。
母乳のにおいがない、もしくは、抱き方のぎこちなさ、抱いている人の肉付きの違い、そういったこともあったのでしょうか?
だから結局、赤ちゃんを泣かせないようにするならば、私が頑張って抱っこをするしかったのです。

そうそう。
二人目を産んでわかりましたが、泣くと言っても、同じ赤ちゃんでも雲泥の差があります。
一人目の時は分からなかったなぁ。
うちの兄の赤ちゃんなんて、「ふえぇえ」と時々かぼそく泣く程度でしたものねぇ…。

歩くゾンビ。それは私。

そして、我が子は夜も頻繁に起きました。昼もほとんど寝ていないのにですよ!?
生後0ヶ月、夕方遅くなって私はもうくたくたです。肩も腕も腰もパンパン! だって、昼間ずっと抱っこしてゆらゆらして部屋中を歩き回っていたのですから。 まさに「歩くゾンビ」状態のわたし。

我が子は、ママの腕のなかでうつらうつら。
もういいかなぁ~と思って、ベッドに置く。起きて泣き出す。また抱っこ。
これを何回も繰り返し、深夜、ようやくベッドに置くことに成功。
そして、自分もお布団にくるまります。もうこの時の布団の感触といったら、たまりませんっ! 速攻で夢の中。

でもすぐに、

「う…、ふぎゃ、ふ………………ぴぇーーーーーっ!」

起きて時計を見ると、さっきから10分も経っていない。こんなことが、続くのです。
これが、夜中中、何回も。

しまいには、赤ちゃんが起きてしまう前兆の「ふぎゃ、む…」という小さな声を聞くだけでも、 悪寒にも似た緊張が全身に走るようになった私でした。
小さな「ふぎゃ…」の声が耳に入ってきただけで、心臓がぎゅーっと痛くなって、 心の中で「やめてーっ」と叫んでいました。

ダンナに寝かし付けの役目を代わって貰いたくても、彼には明日仕事がある身。 やはり夜更かしなんてさせられません。 ダンナはダンナで、「働いて金を稼ぐ」ということで、育児に貢献しているのですから。

ましてや、上にも書いた通り、ダンナが赤ちゃんを抱っこしてくれたとしても、きっと泣きやまないでしょう。
いえ。泣きやむどころか、もっと激しく泣いてしまうかもしれません。
しかも真夜中。壁の薄いマンションです。なおさら、赤ちゃんを泣かせ続けるわけにいかない。
自分が抱っこするしかないと思い、頑張って無理矢理目を開けていました。
まさに修行!
殺人的な修行ともいえました。

一方ダンナはというと…。
どれくらいわたしが夜中に起きているか、どれほど赤ちゃんが寝なかったのか、具体的には知らなかったと思います。
だって、赤ちゃんを抱っこしてゆらゆらしながら部屋を歩き回っているその間、我が子はとても静かだったのですから。
リビングで静かに繰り広げられる「修行」のことは、知る由もありません。

昼寝? はぁ?出来るわけない。

本当に本当に睡眠不足でした。
それでも、明け方頃、時々続けて1時間くらい寝てくれる時もあり、そのお陰で助かったと言えます。
あの頃の私の睡眠時間は、大げさでなく、毎日2、3時間くらいだったのです。

昼寝?
とんでもない。できれば、やってました。
だって昼に赤ちゃんがベッドで眠るのは、どんなにトライしても15分が最長だったのですから。



寝ない理由を探る私。

育児書に『夜中に起きる赤ちゃんのママは、昼間一緒に寝て体を休めましょう』なんて書いてあります。

じゃあ、昼間も寝ない赤ちゃんを持つ私はどうしたら良いの?

そう思っていました。
おまけに、あまりに自分の睡眠時間が絶対的に不足&不規則になったためか、私自身が睡眠障害になりました。
しかも、抱っこのしすぎで、私の左手は腱鞘炎に。
もうぼろぼろ。満身創痍での育児です。

また、育児書には、寝ない・良く泣くという赤ちゃんの行動は、『母乳不足』が原因の場合が多いと書いてあります。
私も信じた一人です。

裏切られました。

というか、私は実は、双子でも完全母乳で育てられるよと、保健婦さんからお墨付きの、”乳牛ママ”だったのです。
それでも「きっと母乳不足で泣くんだわ。寝ないんだわ」と信じて、ミルクを足してみました。

寝ませんでした。授乳間隔が空きすぎて乳腺炎になりました。

以下のサイトは、私が乳腺炎になったときの体験談、乳腺炎の対処法や予防法を書いたサイトです。

辛い気持ち。誰にも言えない。

こんな辛い気持ち、実家の母にも言えませんでした。うち明けたところで、赤ちゃんが寝てくれるようになるわけじゃない…。
遠い所に住んでいる母が何も出来るわけない、心配させるだけだと思いました。

でもたまらなかった。 辛くて辛くてたまらなかった。 なので、産院の一ヶ月検診(赤ちゃんのね)で、お医者さんに相談してみました。 ベテランの女のお医者さんでした。 もう、悲しくて辛い気持ちがたまっていて、なんと言って相談を切り出して良いかわからなかった私は、とりあえず、

「あの……。赤ちゃんが泣くんです……(おずおずと)」

と、お馬鹿なことを言いました。お医者さん、一言。

「赤ちゃんは、泣きます(あきれ顔で)」

冷たくあしらわれ、二の句が継げなくなった私は、すごすご帰宅することになります。

そうか…。そうだよな…。赤ちゃんは泣く…。そりゃそうなんだけれど…。当たり前のことなんだけれど…。

その当たり前の事が、わたしには我慢出来ない…。耐えられない…。そして、誰にも相談できない…。
そう思うと余計に悲しくなりました。

とにかく、そんな感じでまっくらな育児をしていた私なんです。
※もしよければ、私の「産後鬱」の記事を読んでみてください。

状況が好転したきっかけ

そんな状態で、めちゃくちゃだった私です。
で、ある日、またまた乳腺炎になってしまい、結局一週間入院してしまうことになります。

これが私の”転機”となりました。
これは、こどもが生後1ヶ月半くらいのときでした。

産院が、母乳育児に理解のある病院で、母子同室で入院させてもらいました。
そこで、助産師さんに赤ちゃんを預かって貰い、自分は点滴を打ちながらようやくまとまった時間の睡眠をとることができたのです。
私は40℃の熱が出てふらふら。乳房は赤く腫れ上がり、殴られたみたいにずきずきし、体中の節々が痛くなりました。
一日に二度のおっぱいマッサージを受け、抗生物質を飲みました。

入れ替わり立ち替わり、助産師さんが私のケアをしてくれます。
これまで一ヶ月とちょっと。我が身を削って赤ちゃんのお世話ばかりしていた私は、それが情けないほど心に染みました。

助産師さんに「がんばったねぇ」と言われました。私は何もかもが報われた気がして、すごく気持ちがゆるんだのを覚えています。
『赤ちゃんの面倒を見てくれる人が周りにいる・辛かったのですという気持ちを聞いてくれる人が側にいる』という環境に、ホッとしたのかもしれません。

ふと見ると、助産師さんが我が子をおんぶして、機械を操作したり他の患者さんをお世話したりしているのが見えました。

「あ、なんだ。……おぶればいいじゃん」

それが、初めのきっかけです。

そうです。
心身共にリラックスできてようやく、『赤ちゃんが寝ないせいで、私は何も出来ない』と自分一人で抱え込み、自分の状況を悲観し、諦めているだけで、結局『他になにが出来るか考える』ことを止めていたことに気付いたのです。

赤ちゃんが寝なくたって、抱っこばっかりだって、出来ることがたくさんある。

初めてそう気付いた時、鬱状態から脱出することが出来ました。

長々と書いてきましたが、以上が私の「寝ない赤ちゃん育児体験談」になります。おつきあいありがとうございました。 もしも、ご自分のブログ・ツイッターをお持ちでしたら、ぜひご自身の寝ない子育児体験とともに、このブログを紹介していただければ幸いです。もっともっと、世の中のママ、(そしてプレママにも!)パパに、寝ない赤ちゃん、ずっと抱っこの赤ちゃんの存在を知って欲しいと思っています。

次のおすすめの記事は、寝ない子育児改善についてです。
どうやったら寝ない子育児が少しでも楽になるかについて、なおっぺが試したこと、おすすめすることが書いてあります。