寝ない・泣き止まない赤ちゃんへの虐待を減らしたい

頻繁に起きる「寝ない、泣き止まない赤ちゃんへの虐待」

父親が泣き止まない生後五ヶ月の乳児に腹を立てて揺さぶり、 重い障害を負わしてしまったという事件が発生。つい最近、その初公判がありました。 そのニュースを知ってこのコラムを書いています。

「子どもが泣いたくらいで虐待なんて、信じられない!」

でも実際、こういう事件はすごく多いです。

この理由で、乳児に虐待をしてしまう親のニュースは後を絶ちません。
ニュースにならないものを含めれば、数はもっとあるでしょう。
傷にならないような程度の軽いもの、暴言を含めれば、その数は跳ね上がるのかもしれません。

確かに、「心のホットライン」のような、育児が辛い時に相談できる機関はあります。
でも逆に言えば、そういう機関を知らないし興味もない親御さんorそういう機関に頼ることを拒んでしまう親御さんこそ、 虐待に走ってしまう傾向はないでしょうか?
もっと根本的にこの「赤ちゃんが泣いて/寝ないのでカッとして暴力を振るってしまう」問題に 対処できないでしょうか?
寝ない子ママである私は時々深く考えてしまいます。

赤ちゃんが寝ない、泣き止まなくなったときにどんな気持ちになるかのリアルシミュレーション

私は、ほぼ妊婦の皆が受けるであろう産前の母親教室、産後の産院指導で「我が子が寝ない、泣き止まなくなったときに、 実際にどんな気持ちになるかのリアルシミュレーション」があればいいのに、と思うのです。

この感覚のシミュレーション体験があってもいいのではないかと思うのです。

例えば、
実際の「泣き止まない赤ちゃん体験」「疲れているのに全く寝かしてもらえない」状況を、 これでもかっていうくらいに真剣かつリアルに想像し、それによって「疑似体験」し、 その結果起きうる自分の気持ちがどんなものかを見つめ直してみるんです。 もちろん、「想像」してみても、実際にはその状況を体験したことがないからよく分からない。その部分を例えば…、

「ほら、高校とかでテスト勉強したよね? 明け方までやった記憶はない?
その時の体の状態を思い出してみて。どんなだった? オールで遊んだことのある人は朝帰る時はどんなだった?
筋肉の感じはどうだった?
肌の感じは?
頭の中の感じは?
寝ない子ママはその状態の体で毎日を過ごすの。
さっき想像した体の状態だけれどお布団に潜り込むことは出来ないの。
しかも4キロ近い荷物をずーっと持って一日過ごす。4キロは想像できる? ペットボトル2リットルのが二つね」 「ギャン泣き赤ちゃんの泣き声って○デシベルなの。これ、実際の世界でいうと○○の音に相当するの。
今からその大きさの音を鳴らしてみるね。それを身の回りに付けて10分間じっとしてみて」

などと、出来るだけリアルに置き換えてママに考えてもらうんです。

出来るなら、(私達のような)リアル「寝ない・泣き止まない子育児」体験ママに 赤裸々に語ってもらうのでもいいかもしれません。

是非パパにも体験してもらいたい

これは、是非、パパにも体験してもらいたいです。

世の中の「母親教室」や「父親教室」では、

「さー、妊婦は体重が10㎏増えます。これからパパに10㎏の重さのベストを着てもらいます。 ママの体重増加の大変さを味わいましょう」

「沐浴はこんな感じですよー」

こういうことが行われています。
これもとってもとっても大切な事です。
重要な体験です。

でも夜泣きに付き合うしんどさ、寝ない赤ちゃん、泣きわめいて泣き止まない赤ちゃんのお世話を 一人で黙々とこなす「気持ち」を知るほうがもっと大切では無いですか?

育児の大変さの、「見かけ上の」「綺麗な大変さ」しか知らない、教えてもらっていないということが、 虐待に繋がったりはしていないでしょうか?

就寝中にタイマーを10分、40分、1時間20分ごとにかけ、ちょくちょく起きてみる体験をしてみてほしい。
睡眠が細切れどころか、その都度体を起こし、何かの行動(床を掃除するなど)をする経験をしてみてほしい。

たった一晩でもいい。そんな体験を、パパ、産前のママがこなしていたら。

もちろん、こんな体験をしても、実際に寝ない赤ちゃんを育ててみると何の訳にも立たないかもしれませんけれどね。
でも、産前にこういう経験をしていることで、何か、少しでも「気持ちの変化」があるのではないだろうか。
そう思います。