迷子紐の賛否。是か非か?

迷子紐とは、歩き始めた幼児につける「ハーネス」「リード」(盲導犬が付けていますね)です。
まぁ、とっても乱暴に言えば、「犬の散歩紐」みたいなもんなんです。
迷子紐は、歩き始めて親の制御が難しいお子さん、多動気味のお子さんなどにとっては、命綱ともいえる存在。 でも、世間ではあまり評判が良くないという側面もあります。
迷子紐のメリット・デメリット・是非について書いてみたいと思います。

目次

子供の「フェイト手ふりほどき攻撃」は阻止出来ない。

迷子紐を使うメリットの一つに、子供の「フェイント手ふりほどき攻撃をカバーする」ということがあります。

「なぜ迷子紐がいるの? 手を繋げばいいじゃないの?」
そういうかたが沢山居るのではないでしょうか?
いやいや、まってください。なかなか「手を繋ぐ」ということが難しい状況もあるのです。

例えば大人同士で、

「今から10分間、Aさんと一緒に手を繋ぎます。
ぎゅーっと握ると血管が圧迫されるし、Aさんが嫌がるし、脱臼の恐れもあるからほどほどの強さで。
途中で、クイズ、計算問題など出ますからそれに答えて。
人も通りますからそれをよけてね。知り合いだったら挨拶してね。
Aさんが話しかけてくるからそれにも答えてね。
さて、そしてその間のどこかで、フェイントでAさんが手をふりほどきますから、それを阻止してくださいね」

そう予告されたとします。

もうこれね。…100%は阻止できないと思うのです。
現実世界では「手つなぎ10分間」なんてもんじゃない。外出中ずっと続くのです。
しかも、ずっと手の状態に集中するわけにもいかず、車・人・道路状態に気を配り、子のお話にも付き合いながら。

「おかあさん~、●ちゃんがねぇ~。昨日ねぇ~」
「うんうん。それで~?」母、ニコニコで子の会話に耳を傾ける。
次の瞬間、子は、視界に入ったチョウチョを見て 「あ! モンキチョウ~!」で駆け出そうとする時期があるんですよ。
でもって、子どもの手ほどきの素早さをあなどるなかれ。
シュッ、ですよ。もうシュッ(笑)早いのなんのって!
ヘタしたら、さっと手をすぼめてすり抜けやすいようにして、スナップ効かせて、シュッ、ダダダダッ(突進)! です。

もちろん、静かにずっと手を繋いでくれる子も多いですから、それなら、迷子紐なんて全然必要ないかもしれませんね。
すすんで手を繋ぐ子もいるくらいですからね。

でも、本能に直結しているような「好奇心の程度」というのは、本当に人様々。
出来れば手を繋ぎたくない。気になる対象物があればすぐにでも見てみたい。そいういうタイプのお子さんもいるんです。
その場合、上記に書いたように、

これ、リアルで可能だと思いますか?
迷子紐の力を借りないと、ちょっと無理な話だとは思いませんか?


言いきかせが完了するまでの「保険」としての迷子紐

言い聞かせは必要です。
「手は繋ぎましょう」と諭す。
たしかに、何度も何度もそう教えられれば、次第にきちんと手を繋ぐようになるでしょう。
それは教育上、しつけとしてとても必要な事ですよね。
でも、その「常時きちんと手を繋ぐ」という「完成形」まで行き着くまでには、なんども「失敗」がある。 しかもその「失敗」は命にかかわる重大事故に繋がる危険性をはらんでいる。
だとしたらその場合「予防策」(ようするに迷子紐)が必要なこともあるのではないでしょうか?
何かあってからでは遅いんです。
子どもの「好奇心(何かを見つけて、親の制止を振り切ってでもそれを近くで見たい、などの)」は、まさに本能の部類。それを、脳の未発達な子がコントロールするには、かなり大変なことだと想像するのは困難ではないはずです。

要するに、

なんです。

昔は迷子紐なんてなかった。でも大丈夫だった。
そういうかたもおられます。
でもね。今と昔の「車・自転車交通量」は全然違うんですよね。

迷子紐の正しい使い方

迷子紐そのものについてです。
これ、「紐部分をのばした状態」にして使うのは間違っていると思います。
状況を説明すると、「まさに、犬の散歩状態」での使用ですね。
これだと、行き交う人々にとっても迷惑になりかねない。しかも紐が長い分、子どもの安全を確保しにくい。

正しくは、

こういうふうに使うのがよいのではないでしょうか?

迷子紐は虐待か?
と、聞かれれば私はNOと応えます。
昔と今とでは、交通量、人の行き交う多さ・スピードがかなり違っています。
スーパーマーケットだって、昔はあんなに大きくはなかった。
必要なお子さんにとっては「命綱」となっている場合も決して少なくない、ということがもっと広がれば…と思っています。